(このホームページの転写、複写はご遠慮下さい。)
この論文は東京都行政書士会発行の広報誌に掲載されたものです。
平成24年10月27日
東京行政書士研修所所 戸口つとむ
————————————————————————-
相続手続き業務の実際・・・新規登録行政書士のために
1. 相続手続きの法外な報酬請求と行政書士制度の意義
行政書士事務所のホームページを見ると相続業務をメインとしている事務所が多いのには驚かされる。報酬も弁護士以上に高額を表示している事務所も多く存在するが、行政書士としての役割を考えているのだろうか。確かに、行政書士の報酬は自由化され行政書士自らが自由に設定できるようになった。十数年前までは知事の認可した報酬規定が存在し、その金額以上は請求できなかった。またダンピングをした行政書士に対して行政書士会本部が注意勧告をした。その後、注意勧告をした行政書士会本部の行為が独占禁止法に違反すると公正取引委員会から逆に行政書士会が注意を受けた。そんな行政書士の報酬制度の歴史が存在する。現在の行政書士の報酬制度は高額でも極端に安くても法律的には良いことになっている。しかし、行政書士制度の求めているものはそれで良いのであろうか。行政書士が代書人であることは平成14年の行政書士法改正により代理権獲得後もそれ以前と変わっていない。弁護士より高い報酬を請求して、しかも、遺産の総額に割合を乗じて高額な報酬を請求するようなことはあってはならない。明治から長い歴史をかけて現在の行政書士制度が確立されてきた。街の法律家としての評価が徐々に上がりつつある今日であるが、死闘の歴史で建設した制度も破壊するのは一瞬である。報酬を自由に決めて良い意味は、社会的に見て問題のない妥当な報酬を自己責任で決められるだけの分別を法によって与えられたということである。行政書士は、法を犯さなければ良いのではない。街の法律家とは報酬も庶民的である意味であろう。行政書士としての社会的使命と責任を常に意識して業務を考えたとき法外な報酬を請求することなどあってはならない。
2. 遺産分割協議に関する業務の行政書士と弁護士
2.1遺産分割協議の交渉代理は争訟性のある法律事務
遺産分割協議の代理は、合意が成立していない間は争訟性のある法律事務である。その合意も内諾ではなく、法的に確定している合意のことである。口約束のみの合意であれば当事者がいつ翻意するか分からず法律関係が不安定な状態であるので、書面により確定するまでは争訟性のある法律事務である。それ故に相続交渉代理は弁護士のみが取り扱うことができるのである。従って、行政書士は、相続人一人の代理人となることも、或いは一人の相続人の意思を他の相続人に伝達するメッセンジャーであっても厳禁である。代理人とメッセンジャーの区別が客観的にはつき難く、メッセンジャーであると行政書士が主張しても代理人と判断され、違法とされる。少数説では、代理人としての交渉は相続人間で争っていない間は行っても良いとの説があるが、問題であろう。争う前は代理し、争いが始まったら手を引くのでは無責任そのものであり、弁護士を紹介すれば良いものでもない。 示談交渉でも、遺産分割交渉でも争いが有るか無いかは人の内心の要因が多く、客観的に判断することは難しいのだから、争いの蓋然性がある法律事務は取り扱うべきではない。ただし、行政書士は争訟性のある法的事務に関しても書類の作成であれば行うことができるのであるから、書類の作成に徹して受託するべきである。その為には後述する方法によって相続手続きを進めるべきだと考える。
参考であるが、示談書についても同様に行政書士は代理人として作成しえない。たとえ、紛争が終結した示談であっても代理人として作成することなどありえない。なぜなら、代理人と記載すれば示談交渉をしたことであり、争訟性のある法律事務を取り扱ったことになる。示談が終結したのであれば行政書士を代理人とする意味は存在しないであろう。書類作成のみの代理人は存在しない。書類作成のみであれば代行人である。示談が決まり示談書を作成するときは示談内容の実質的合意(効果意思)は済んでおり、事実行為(表示行為)の書類作成業務のみが残っているだけなので、行政書士は当事者名による書類作成を代行するのである。代理は法律事務(法律行為の事務)であり、代行は事実行為である。しかも、書類作成の場合は、本人の意思表示があり、行政書士の意思表示は存在しない。
2.2行政書士の遺産分割協議書作成と弁護士の遺産分割協議代理
相続に関する弁護士の業務は協議による解決が多いのか、裁判によるものが多いのか筆者には定かでないが、弁護士は遺産分割協議書の作成は苦手なように思われる。判決や裁判上の和解によるときは当然に当事者意思の合意よりも公権力による強制的解決のために、弁護士は当事者意思の合意による遺産分割協議書の作成に慣れていないように覗え、弁護士作成の協議書サンプルに不足事項が多いと感ずるのは筆者だけであろうか。それに対して、やはりベテラン行政書士のそれには、予防法務の専門家として幾重にも紛争の予防を考えた協議書作成の仕事が見えるのである。当然のこととして、交渉の専門家弁護士と書類作成の専門家行政書士の棲み分けが有って良いと考える。行政書士のプライドとして書類作成についてはどの専門職より優れていなければならない。新人行政書士は、弁護士から「行政書士ごときが・・・」と言われないだけの書類作成の技能をつけなければならない。予防法務の為の書類の作成は不測の事態に対応する想像力の結集であり、その体系である。法律知識のみではどうすることも出来ない作業でもあることを知って欲しい。そこに行政書士と弁護士との棲み分けが見えるのである。
3.争訟性のある法律事務とそうでない法律事務の具体的区別方法
争訟性のある法律事務とは、どのような法律事務であろうか。学説、判例は色々と説明しているがこれと言った分かりやすい説明がなされていない。しかし、実務の世界での区別の方法はそう難しいものではない。争訟性のある法律事務とは、当事者間において合意形成がなされない場合の解決方法が裁判の道しかない案件のことを言うと理解すると良いであろう。従って、示談交渉、相続協議等は全て争訟性のある法律事務である。それに対して、契約交渉の場合、売買契約等の交渉が不調に終わっても、物件を売らないことを理由に通常は訴訟を起こすことはできない。然して、通常の売買契約の交渉代理は争訟性のある法律事務ではないのである。相続は、原則的に、協議が整わなければ裁判を求めるしか解決方法は無いのであるから、遺産分割協議は争訟性のある法律事務であると解する。従って、行政書士は遺産分割協議には参加せずに遺産分割協議書の作成を業として行う。
学者は言論の自由から、争訟性のある法律事務の解釈をいろいろと主張する。しかし、その責任を問われるのは当事者の行政書士である。逮捕されるのは学者ではなく現場の行政書士であることも自覚しなければならない。もし、行政書士が争訟性のある法律事務を取り扱い又は現在の争訟性の無い事務を広げたいのであれば、法改正の道しかないと考えるべきである。現行の行政書士法が国民の利便の為に完ぺきであるとは筆者も考えていない。行政書士の業務を依頼者の為に一部拡大する必要があると考えるが、現行法を厳格に守らない者に法改正を主張する資格はない。
4.十年前の改正行政書士法の意味と新人行政書士の実態
平成14年7月1日に改正行政書士法が施行され行政書士は代理権を獲得し、書類作成代行と共に手続について代理人として業務を行うことができるようになり法律家になった。しかし、誤解してはならないことは、行政書士の独占業務について全く変更が無く全て任意業務として代理権が与えられたことである。従って、行政書士は現在も代書(書類作成)を独占業務とする代書人である。行政書士法の改正によって行政書士の独占業務が増えたわけでもなく変更されたわけでもない。当時の総務省は、行政書士法の改正趣旨は「行政書士業務の明確化である」と説明している。代書人としての行政書士業務が変わったわけではないのに、法改正の後に急激に弁護士の真似事をする行政書士が増加したのである。
行政書士は街の法律家だと言い、相続の専門家だと言う。確かに、長い行政書士経験を積んだ相続の専門家も行政書士として活躍している。しかし、昨年登録した新人行政書士が、相続の専門家と謳うことには違和感を覚える。登録数年の行政書士のホームページで、代理と代行、法律行為と事実行為の区別を混同している者を多く見かけるが、代理と代行は、大学法学部では1年の時に学ぶ課題である。しかも、現在の行政書士試験は行政書士実務とは掛け離れ、行政書士としての資質を問うだけの試験であることを新人行政書士は自覚する必要があるであろう。行政書士試験に合格することは、研鑽を積めば行政書士に成れる資質を有している意味であると理解すべきである。しかし、法的には、行政書士試験合格後すぐに開業することが出来る。従って、若い行政書士は、行政書士業務をほとんど分からないまま、「専門家行政書士です」とホームページで顧客を求める。その為にトラブルは多いはずであるが情報が集められていない。一面、市民の側が賢く仕事を依頼していないことも想定できる。先日も、若い行政書士に「主たる業務は何をしているのですか」と聞いたところ「相続手続きと成年後見です」と答えたので「それでは収入は殆どありませんね」と言うと返事がなく、その場を立ち去ってしまった。その姿を見ても分かるように、相続を掲げて仕事を得られない若手行政書士が多いようである。
法的に許されることと、社会的責任は別の問題である。登録して間もない行政書士は先輩行政書士の指導を得るか又は先輩行政書士の協力を得る等で未熟な知識の補完を考えて欲しいと願うのである。そして、我々行政書士は、常に研鑽を怠らないことが務めでもあろう。しかも、書籍やネットでは学ぶことができない実務的経験の上に積み挙げられる専門ノウハウは先輩から伝授されるしか方法はないであろう。先輩行政書士もそれを後輩行政書士達に伝えることが責務でもあると考えて欲しいものである。
5. 行政書士の相続手続きの方法と業務範囲
5. 1行政書士の相続手続きの一般的具体的事務の流れ
行政書士が相続手続きを行う場合の順番と、やるべきこと、取り扱える事務を具体的に列挙してみた。全ての場合この通りになるわけではないが、一応の目安として考えて頂きたい。
(1)相続手続き受託(受任ではない)範囲と報酬の合意。相続手続業務委託書(遺産分割協議書作成及び相続資料収集委託)に署名捺印をもらう。委任状は絶対に貰ってはならない。後日トラブルが発生した時に弁護士法違反に問われる可能性が大きくなる。書類作成代理人と表示することも不可。(2)聞き取りによる相続人及び相続財産の推定(3)相続人に相続財産資料の提出を求め、同時に相続財産の調査、確定(4)相続人の戸籍謄本・住民票、被相続人の原戸籍・閉鎖住民票の収集と相続人の確定(5)相続財産の民法上の評価(6)各相続人への相続人代表候補者(長男の場合が多い)からの通知 (7)各相続人の主張の収集整理(8)相続人全員に来所願い、遺産分割協議の開始。各相続人の主張聴取、整理(9)遺産分割協議書一次案の作成提示(10)相続人の再主張が出揃った段階で整理、協議書二次案の作成提示(11)各相続人の主張を再度聴取整理(12)遺産分割協議書三次案の作成提示(13)各相続人からの最終主張聴取、協議書案調整(14)最終確定遺産分割協議書の作成と署名捺印、印鑑証明書の提出(15)相続手続に必要な他の書類に同時に署名捺印をもらう(16)相続税が発生する場合は、相続税申告の為の資料収集整理と税理士の紹介(17)司法書士の紹介(18)全ての相続関係資料の返却と報酬の請求 (19)受託(事件)簿への記載(作成した書類の枚数も記載要件である)
以上の通りに行政書士は相続手続きを進めるが、相続人を訪問することも、相続人と交渉することも業務としていない。相続人からの意見の聴取、相続人への参考意見の提示は書類作成相談として相続人全員の参集の下で行うのである。個々の相続人と個別に会うことはしない。新人行政書士の中には、「このような進め方はできない。各相続人と会い直接、話を聞き合意を得た方が事務的にスムーズ」と相続の交渉を前提とした事務を取り扱うべきとの考えを持つ者がいるが、それは違法である。書類作成を口実に交渉をしてはならない。メッセンジャーの名を以て代理行為を行ってはならない。書類作成業務に沿った事務の進め方をすべきである。協議の交渉は当事者間で行い、行政書士は資料収集、相続人主張の聴取整理、書類作成相談として主張に対する参考意見提示等に留めるべきである。行政書士が訪問せずに相続人に訪問願うことは協議成立に大きな効果がある。人も動物で有るから自分のテリトリーでは心理的に開放され気が強くなり言いたい放題を言える心理状態になる。しかし、行政書士事務所に来所すると自宅より心理的に解放感は無くいわば弱気な状態になるのである。従って、行政書士事務所の環境や雰囲気も相続人の合意形成に役立つように考え、対策を講じておく必要がある。勿論、行政書士は相続の交渉代理はしないが、相続人同士が対話をして合意形成する上でも、協議の場所は第三者である行政書士事務所が良いのである。
前記の進め方であっても弁護士連合会は違法と指摘するであろうが、しかし、あくまでも行政書士は交渉をせずに交渉は当事者間で行うのであるから合法と強く主張できるのである。
5.2相続手続きにおける行政書士が禁止される具体的行為
(1)片方の代理人になること(2)双方代理の禁止から相続人全員の代理人にも無論なれない。(3)書類作成代理人なら全員の代理人になれるとの説があるが、「書類作成代理人」と言う概念は理論矛盾で、存在しない。さらに、書類作成は事実行為で法律行為では無いから、双方代理の規定の問題は論ずる余地もない。(4)相続人のメッセンジャーになること。代理と誤解をされるから禁止である。(5)依頼人とは別の相続人に電話をして協議書に捺印を促がすこと。(6)一人の相続人の代弁をすること。(7)相続人を訪問し捺印を求めること。但し、協議内容が確定しているときは訪問して良い場合がある。(8)委任状をもらうこと(貰うべきは委任状ではなく委託書である)。(9)仲裁する行為又は法律の鑑定をすること。(10)その他、相続人に対する説得或いは交渉をしていると誤解を受ける行為。
以上、簡単に流れを記載して、行うべきこと、やってはならないことを列挙した。このように、行政書士は事件屋ではなく、代書人としての誇りを持って業務を行うべきである。
5.3行政書士の相続手続事務の進め方
前述の事務を流れるように処理できれば良いのであるが、なかなかそうは行かない。実際は流れのように行かずケースバイケースで対応することになる。特に、協議の進め方が問題であろう。弁護士であれば代理人として他の相続人と直接面会し交渉をする。各相続人も弁護士を立てる対策をとるであろう。しかし行政書士の相続手続きは、行政書士法の規定に従って、書類作成を中心に手続きを進めるのである。遺産分割協議は争訟性のある法律事務なので行政書士は代理人になれないのであるから、個々の相続人と対話せずに、各相続人に参集を願い、もし参加できない相続人がいるときは相続人の誰かに主張を伝えてもらうことにして協議を進める。事務所に参集願い、相続人間で協議を行っても話がまとまらず、協議が不調に終わることもしばしばであろう。それでも、協議を何度か繰り返し、「ガス抜きも大切な合意形成の過程」と考え根気強く進めるのである。協議の進め方は、行政書士は誰の代理人でもなく遺産分割協議書を作成する一つの段階として、各相続人の主張を聴取整理し、主張に対する参考意見を行政書士として述べ、中立的第三者として書類作成の為に協議に同席することが大切である。ある段階では、行政書士が遺産分割協議書の一次案を作成して相続人に提示し、さらに相続人の主張に沿って修正し第二次案、第三次案と協議書を作成して協議の場に提示するのである。行政書士は誰の代理人でもないのであるから、報酬も相続人全員に対して相続分に案分して請求すべきである。
行政書士法の独占業務は書類作成業務のみで交渉を行う業務は存在しない。行政書士の民々代理業務は、誰でも行える任意業務として法定されている。従って遺産分割協議において許されている行政書士の業務は書類作成と書類作成相談のみである。それは法律行為の受任ではない。事実行為の受託であり事実行為の相談である。従って、行政書士が各相続人を訪ねて回ることはあり得ない行為である。遺産分割協議書に捺印をもらう為だけであったら郵送で十分であろう。あえて面会を求める正当性が見えない。面会して捺印を求める行為は相手に圧力を与え交渉そのものと見なされる。相続人間の連絡調整も行政書士は関与すべきではない。個々の相続人と対話し連絡すれば代理人として折衝しているとの誤解を与えてしまう。違法に問われたとき、街の法律家である行政書士が「メッセンジャーとして対話した」では通らない。メッセンジャーと言う名の脱法行為者と見られることは必定である。さらに、相続人間で揉めている場合は、あえて説得せずに時間を置くことが大切であろう。何事も冷却期間を置くことである。冷却期間を置くことをベテラン行政書士は「塩漬け」と言って機が熟するまで待つのである。遺産は原則として協議が整わなければ分割できない。従って、人情としては誰もが早く分割して欲しいと願うわけだが、その人間心理を突いて敢えて時間を置くのである。相続人から現金だけでも先に分割して欲しいとの要望がある場合があるが、相続人全員の合意が無ければでき得ない。そして、急いで分割をして欲しい者から妥協をしてくるであろう。説得や交渉はいらない。できないのではなく必要無いのである。それが行政書士の相続手続きのやり方である。
6. 代書人行政書士の相続手続きの報酬
相続手続の行政書士報酬は高くても手数料は30万円位のものである。行政書士は代書人であるので弁護士のような高額を請求すべきではない。街の法律家とは庶民的法律家の意味で報酬も安いとの意味であろう。高額を請求しては街の法律家ではない。最近の若い行政書士は、遺産に対する数パーセントを報酬として掲示している。しかし、相続手続きは遺産の金額によって事務量が増えるわけでもなく、遺産額により手数料を増減変更することは書類作成業として正当性を説明できない。社会通念として代書人行政書士の報酬請求の限度があるであろう。さらに若い行政書士で遺言公正証書案の作成に38万円以上を請求するケースがある。しかし、遺言公正証書は公証人が作成するもので行政書士の業務ではないし、遺言案にそれだけ費用を掛ける必要はない。公証役場に出向けば無料で相談に乗ってくれて資料の収集方法も教えてくれる。それなのに行政書士がどんな行為をしてそれだけの法外な報酬を請求できるのか不明である。因みに、高いと言われている信託銀行の遺言書作成サービスは31万円ほどである。
行政書士は代書人であるから、行政書士法施行細則(都道府県規則)で、受託(事件)簿に受託作成した書類の枚数を記載することが義務付けられている。道府県によっては枚数を記載する義務を廃止したところもあるが殆どの都道府県は枚数の記載が義務である。そのことからも行政書士の代書人としての性格が確認でき、書類作成を大きく超える報酬は請求できないと考える。それが行政書士の街の法律家としての存在意義である。
7. 行政書士が知るべき相続手続きの最低限知識
行政書士が相続手続き業務を取り扱う上での最低限の法律知識を初級、中級、上級に分けて列挙した。当然に全問正解でなければ専門家ではない。一応、三段階に分けたので自分の相続に対する知識の確認の為に使用して、もし、わからない事項があったのなら支部の先輩達にきちっと指導を受けて理解して欲しいと願う。
(初級)「印鑑証明書は何部取ればよいか(ケースバイケースの解答は不可、具体的に)」「遺産分割協議書添付の印鑑証明書の有効期限は(三か月ではない)」「遺産分割協議書は何通作成すべきか」「遺産分割協議書に捺印をもらう時に必ず捺印をもらわなければならない別の書類は何か」「被相続人の何歳からの原戸籍を取り寄せ、それを正確に読めるか、整理の方法は」「住所の分からない相続人の探し方を理解しているか」「相続人が行方不明の時の手続きは」「相続不動産登記の必要書類は(登記は司法書士であるが、登記の為の必要書類は行政書士のアドバイス必要)」「相続関係説明図を正確に作成できるか」「生命保険が相続財産になる場合とならない場合があるが、その相違を説明できるか」「相続の放棄と相続分の放棄があるが、その相違とそれぞれの手続きを理解しているか」「寝たきり老人の遺言はどのように進めるか」「遺言公正証書の後に自筆遺言証書を作成したが、どちらがどのように優先されるか、正確に説明できるか」「自筆遺言証書の日付が平成二十三年二月吉日としてある場合と日付が平成二十三年二月二十九日となっているものがあるが、それぞれの有効無効は」「相続放棄の熟慮期間は民法の規定では、相続人が相続の開始を知ったときから三か月以内であるが、それが全てか、判例は」「相続税の申告期限は」「遺産分割協議書の捺印が不鮮明な場合の法的効果と問題点は」
(中級)「みなし相続財産の民法と税法の相違は」「各遺産の評価方法を理解しているか。協議に使用する不動産の評価は、相続税の評価ではない。絶対に使ってはならないのは固定資産税評価額である。不動産の評価は時価で評価すべきであるが、時価には再調達原価と正味実現可能価額があるが、それのどちらを用いるべきか、その根拠を説明できるか、その評価方法は分かるか」「遺産分割協議書の作成について司法書士等と異なる行政書士の予防法務専門家としての固有の作成ノウハウを理解しているか」「外国に在住する相続人は印鑑証明の代わりにサイン証明を取ることがあるが、サイン証明より優れている方法が二つあるが何と何か」「相続税法上の相続財産と民法上の相続財産の相違は」「相続人代表を定める合理性は何か」「相続財産に加算する特別受益分の評価時期は」「遺産分割協議成立後に相続人全員合意で協議をやり直したいが、その問題点は」
(上級)「危急時遺言は裁判所に確認を求めるが裁判所の具体的確認とはどのように進められるのか,またその注意すべき点は」「遺産分割協議において遺産の評価を誤認した場合の合意の法的効果は、判例は。」「自分が死んだら妻に家を与えると自筆遺言証書を作成して亡くなったが、要式を欠き遺言が無効である場合の妻の法的立場は、判例は」「相続税の概算計算ができるか(参考として概算計算し必ず税理士に相談確認するよう勧めること。税額はこれですと確定したことを言わないこと。申告書作成のアドバイスをしないで税理士を紹介)」
上記の判例等は相続に関する基礎的な知識であるが、行政書士として当然に知らなければならないものである。8.相続手続きを取り扱う信託銀行、他の士業との競合と実際
全国の行政書士数約4万2千人、弁護士約3万人、税理士約7万2千人、司法書士約1万9千人、公認会計士約2万3千人で、この士業登録者数合計約18万6千人強である。兼業者を除いて相続を取り扱う士業者が約10万人と仮定する。国税庁の発表で相続税の申告件数が年5万件、相続税を納める件数が年1万件である。年間死亡者数が約119万人で、持家数が2008年で3千万棟であるから、人口が1億2千万人とすると4人に1人が持家である。従って年間の成人死亡数を百万人と仮定し、相続手続きが必要な件数は持家の死亡者と同数と見て25万件と推定する。5万件の申告件数を専門家に依頼する相続手続き件数と考えると、約20万件が相続人自分たちで手続を行い、司法書士に登記のみを依頼して、その他の高額遺産の相続手続きは信託銀行がかなり多く取り扱っている。因みに、信託協会の発表では、昨年9月末時点での遺言信託件数は7万3千件である。しかも、中小企業の経営者の殆どは税理士に相続手続きを依頼するであろう。そのように考えると行政書士の相続業務はかなり縮小されてくる。一人平均4年に1件位であろうが、この推定も行政書士にとって甘く考えてのことである。一つの行政書士事務所が、10年間で50件の相続手続きを取り扱うことなどは、よほど手数料を低く抑えるか超人を除いてあり得ないことになる。実際、歴史ある行政書士事務所で相続業務を専門としている行政書士は少ない。しかし、ネット上で相続手続きを宣伝している者が多く、ほとんどが登録1年から5年の行政書士である。新人行政書士の業務の獲得と業務知識について危惧の念を抱くのである。
行政書士の無料相談会を開くと相続の相談が圧倒的に多いことは事実であるが、相続の無料相談が多いことと行政書士としての相続手続き業務が多い事とは別のことと考えなければならない。相続人が自分で手続をとり事務処理の情報を収集するために無料相談を利用していると考えた方が的確かも知れない。最近の行政書士登録者の中で相続業務によって成功している行政書士はまず存在しないであろう。数少ない歴史のある一部行政書士事務所のみが相続を専門に業として成り立っているのが現実であることを知らなければならない。
9. 相続の為の弁護士、税理士とのネットワーク・・弁護士法と税理士法の壁
弁護士法27条は、非弁活動をする者との提携を禁止している。この弁護士法の規定を厳格に解釈する弁護士が多く、市民が不便を強いられている。弁護士法を遵守するために行政書士が弁護士を紹介するのであるが、弁護士にして見ればあらぬ疑いをかけられたくないのであろう。しかし、この規定は非弁活動をする者からの周旋を禁止しているのであって、弁護士法を守ろうとしている行政書士に矛先を向けることは法解釈の誤認である。日本弁護士連合会と日本行政書士会連合会との業務の紹介についての取り決めが必要と考えるのである。
さらには、税理士法は、業務提携についての規定を置いていないが、税理士会会則において税理士以外との業務提携を禁止している。会則違反は税理士法違反である。従って、税理士と顧客が直接に委任契約をして、報酬を税理士が依頼者に直接請求し、もちろん税理士と依頼者は面識があることになる。そのように、税理士の紹介も弁護士と同様に、実務では厳格に進めなければならず、依頼者が不便をすることがしばしばである。士業法は何の為に存在するのかを考えたときに、その法解釈は資格者の既得権擁護であってはならない。国民にとってどんな制度が便利で権利保護に有効かを考えるべきであろう。しかし、現実は国民の為ではなく各省庁の思惑と既得権資格者の思惑のみが優先され、制度化されている。本当の民主主義を考え、法律資格制度が国民の為にどうあるべきかを基準に法改正すべきであろう。遠い理想かも知れないがそれを信じて行政書士制度の発展を考えたいと思うのである。士業間のネットワークについて日本行政書士会連合会と日本弁護士連合会、日本税理士会連合会との意見調整と合意が必要であろう。国民の便益を最優先して制度を運用すべきである。
10. 行政書士と弁護士の棲み分け=相続手続きの使命の相違
弁護士は一相続人の代理人としてその立場を強力に守り、公権力による解決を目指す。時には、争いを大きくして相続人間の人間関係を修復困難にまで追いやってしまうこともあるようである。弁護士の責務は依頼人の権利を最大限に守ることであるから致し方ないことなのであろう。そして、弁護士を立てることは一般的に法的喧嘩をすることを意味し 我が国社会では歓迎されないことが常である。これに対して、行政書士の相続手続きは、どの相続人の味方もせず、従って協議に直接参加せずに第三者として協議の場に同席し、情報の提供と意見の聴取整理を行い、協議は相続人間で直接に行う。第三者行政書士同席のもとで相続人間で自らが解決する道を探るのである。目指すことは相続人間の円満協議の成立である。勿論、こじれて合意が得られない場合もしばしばである。しかし、行政書士と相続人達で時間をかけて手間をかけて解決の糸口を探ることは、弁護士代理の相続手続きと大きく異なる結果を導き出すのである。従って、手続きが終わった後の家族間の人間関係に大きな相違が出てくる。相続手続きは、相続人全員が主張し合い、自主的に合意に至ることは重要なことであり、協議成立後の家族間の人間関係を考慮して模索しながら協議を進めることが大切なのである。そこには、行政書士と弁護士の手続きの進め方に大きな相違があり棲み分けがある。行政書士の使命と役割は、弁護士の紛争解決とは異なり協議成立後の家族問がこじれないように進めることが重要な責務であり、匠としての技である。それこそ行政書士が存在する意義である。従って、各相続人一人と面会し弁護士類似行為で相続手続きを進めることは行政書士の存在価値を自ら否定することに外ならないであろう。
11. 行政書士として成功する為に
行政書士にとって、年1千万円の収入を得られただけでは成功ではない。コンスタントに毎月安定した収入が確保されて初めて成功である。更に、固定支出は固定収入で賄われるようにならなければ成功ではない。この二つの条件を常に意識して欲しいのである。次に、行政書士成功の五つの条件を説明する。
まず第一に、業務研鑽をすること。独学で学べる基礎法律学、基礎会計学などは独学で学べばよいが、特に会計実務、医療系許認可等は独学では無理である。独学で無理なものは先輩の指導を仰ぐことと、本部研修、支部研修、任意団体研修を利用することを勧める。特に研修に参加することによって講師との面識ができ、分からないことを聞くネットワークを作ることができる。それらに参加する前に行政、ネット等で資料を集めるなどの予習をすること。自分で調べて分からないことを質問するくらいの姿勢が必要である。ただ、ネット情報は間違いも多く、全面的に信じてはならないので注意を要する。
私的経営の行政書士実務講座の受講は講義内容が千差万別で申し込みには慎重を要する。費用の割にはほとんど参考にもならないどころか、時には誤った講義をするところもあるので慎重を要するのである。さらに注意をすべきは先輩とコミュニケーションをとろうとして支部活動をやり過ぎ、忙しくて研鑽も仕事も儘ならなくなる場合があるので、自己の時間管理を考えた上で参加すべきである。支部の活動はもちろん大切で参加すべきであるが、できないことはハッキリと「できません」と言うことが大切だ。そうでないと、結果的に支部の先輩の方たちにかえって迷惑をかけることにもなりかねない。
第二に、兼業等のアルバイトを持つこと。ある本によると「兼業は禁止。六か月真剣に業務を取り扱えば食えるようになる」と説明する者もいるが、その成功例を見たことがない。行政書士業務を覚えるためには時間がかかる。さらに顧客を獲得するにも時間がかかる。その為には生活を維持しなければならない。アルバイトはできるだけ行政書士と関係のない業種を選び、気分転換することが大切である。
第三に、自宅兼用事務所ではなく、数が少なく探すのに苦労するが外部の共同事務所等を考えるべきである。勿論自宅が事務所としての機能を備えているのであれば自宅兼事務所でも良いが、それでも女性の場合は、自宅での事務所は厳禁である。行政書士は応招義務があり、正当な理由が無ければ仕事を断ることはできない。従って怪しげな相談者も自宅に入れなければならず、時として危険を伴なう。女性行政書士は、自宅以外の事務所が必須である。特に共同事務所は先輩に仕事を聞けて効率的であろう。
第四に、営業を徹底し、名刺を配りまくることである。筆者は「名刺一万枚作戦」と名付けている。どれだけ多くの人と巡り会ったかが勝負である。飛び込みと言うと品がない。挨拶廻りと言い換えれば品が良くなる。だから品良く挨拶廻りをして欲しいと願うのである。名刺配りで気おくれしない為にも挨拶廻りをやってみて欲しいと思う。しかし、ある本によると「行政書士に飛び込みは無用だ」と。しかも「自分も100件の飛び込みをしたが、効果がなかった」と説明する。それは大きな誤認である。挨拶廻りは顧客を取るためではなく、紹介された顧客を逃がさない為、かつ会合で名刺を配ることに臆さないための訓練である。そんな中でたまたま、挨拶廻りがヒットするときもあるから止められなくなるのである。但し、挨拶廻りは100件では全く意味がないであろう。ビジネス営業を知らない発言である。
顧客は待つのではなく、顧客を求めて攻める(挨拶に廻る)ことが大切なのである。待つ商法を「蜘蛛の巣商法」、攻める商法を「ミツバチ商法」と言う。行政書士はミツバチ商法でなくてはならない。
第五に、ターゲットは一般市民より中小企業の社長であることを知るべきである。企業は利益を得るためには資金を使う。行政書士の仕事は利益を生む為に必要なこと(許認可など)が多い。「市民には社会貢献で接し、儲けは企業から」を合言葉としたい。因みに、筆者は内容証明の作成の多くをボランティアで行ってきた。
成功の条件は、業務知識、弛まぬ営業、事務所の三つがキーワードである。行政書士の成功は特別の能力ではなく本物の努力とやる気である。ただ、弁護士の真似事はやめて、代書人行政書士としての誇りを持って成功街道をまっしぐらに突っ走って欲しい。筆者は行政書士に成りたくて成り、本業で他の道を考えたことがない。とても素晴らしい道と思うのであるが、最近は登録して短い間に廃業してしまう者が多く、悲しいことである。
12. おわりに
本部が発行した業際マニュアルは、市民法務部の労力と汗で発刊したものである。しかし、業際のグレーゾーンを記載してあるので自己責任で業務を行うように注記してある。市民法務部の方針は、行政書士制度改革の戦略が絡むことからそれで良いと考える。従って、業際マニュアルは、参考に留めることとして、日々の業務では弁護士法を厳格に解釈して行わないと、こんなはずではなかったと後悔することになる。本稿は、細心の注意を払って行政書士の防衛も考えての理論展開である。日常の業務においても常に証拠を残して業務をこなし、身を守ることは自らが努力をしなければならない。本項に書いた方法での相続手続きで十分に仕事を熟すことができるので、相続手続きにおける、行政書士役割の相違を理解して、自信を持って業務を受託して欲しいと願う。
(筆者は、行政書士業歴30余年、現実践女子大学大学院人間社会研究科兼任教員を務める)
(参考資料)相続手続業務委託書のサンプル
次に委託書の様式を掲載したので参考にして欲しい。この委託書の取り決めは、争訟性の有る法律事務を受任したのではないことの証として、行政書士の防衛の為に作成するのである。委任状は、代理権を授与する法律行為であるから争訟性のある法律事務を受任したことになるため絶対にもらってはならない。例え書類作成代理人(理論矛盾用語)としての委任状であっても同じことである。遺産分割協議の代理はあくまでも法律行為であるから非弁活動になる。この委託書は、紛争中の相続手続きをも想定しているので、色々な相続事件に使用できるであろう。遺産分割協議は、分割がすでに決まっていない限り法的には全て「争訟性のある法律事務」である。しかし、この書式を使用し本稿の解説のように業務を進めれば、事実行為としての書類の作成を行うための受託であるから、行政書士は問題なく相続手続き業務を進められるのである。
次に、委託書の運用についての注意事項を述べる。
1. 各相続人からそれぞれに委託書をもらう。署名と実印による捺印をもらう。場合によっては認印で良いが委託する意思の確認のためには実印が大きな効果をもたらす。
2. 相続人代表が決まらない間は、初めに相談に来所した相続人を介して各相続人に連絡を取るようする。
3. 行政書士が訪問して相続人から委託書に捺印をもらうのではなく郵送によることが原則であるが、窓口になってくれている相続人(代表)に依頼して捺印をもらうことも良いであろう。個々の相続人と面会をしないことは、各相続人と折衝をしたと誤解されない為である。
4. 行政書士は、各相続人と直接連絡をしないようにするが、仮に一人の相続人が訪ねてきてしまったときは応 対して話を聞くべきである。あまり杓子定規に物事を考えるのではなくサービス業としての意識も大切である。
5. 別の約定を必要とする場合は、相続人間及び各相続人と行政書士との間も必ず文書で約定する。
6. 特に報酬の支払い等は委託書に記載してある通りでない場合も多いので約定書で別に定める。
7. 委託書に記載のある事項と異なるときは委託書の異なる部分を線で消し訂正印を押し、別に約定書を作る。 この委託書を用いて実際に相続業務を受託すると、行政書士が紛争の中に巻き込まれず、まことに便利である ことに気付くであろう。また、弁護士を代理人に立てて争うのとは異なって十分な対話が有り、協議成立後に おいても家族、兄弟間のプラスになる。行政書士とは、本当に良い仕事である。
8.協議を急がすのではなく、かけるべき時間はかけて家族間で遺恨を残さないことを常に注意し、円満に努めることが行政書士としの責務である。
9.相続人が一同に会し協議を進めることの重要性を相続人に説明することが大切である。
(参考様式)相続手続業務委託書 受託人 氏 名 行政書士 〇 〇 〇 〇事 務 所 東京都中野区弥生町三丁目24番11号私は、上記の者に下記の業務を委託致します。1、 亡〇〇〇〇の相続手続きに関する次の資料の収集イ、 被相続人〇〇〇〇原戸籍、閉鎖住民票等(省略の無いもの)ロ、 各相続人の戸籍謄本、住民票謄本(省略の無いもの)ハ、 銀行の払出し帳票類、生命保険支払請求書類 |
ニ、 その他必要な資料
2、 相続財産の調査及び概算評価
3、 相続関係説明図及び遺産分割協議書の作成
4、 遺産分割協議書の作成の為に各相続人の主張聴取と整理
5、 本件相続手続きに関する相談(遺産分割協議書等に関する意見の提示を含む)
6、 その他、上記各号に付帯する一切の件
7、 委託契約上の条件
イ、 遺産分割協議は相続人間において行い、受託人は関与しない。但し、参考意見について遺産
分割協議書作成に必要な範囲で意見を述べ、又、各相続人の主張を当該範囲で聴取すること
ができる。
ロ、 協議の場所については受託人の承諾を得て行政書士事務所を原則として使用することができる。
ハ、 協議は、相続人全員が行政書士事務所に参集して協議を行うことを原則とする。
ニ、 各相続人間で相続人代表を定める。相続人代表の事務範囲は相続人間で別に定める。
ホ、 受託人は、各相続人の誰の代理人でもなく連絡は原則として相続人代表を通じて連絡する。
ヘ、 受託人は、相続人の誰の味方もせず第三者として中立の立場で遺産分割協議書作成業務を行う。
ト、 受託人は、遺産分割協議書作成について相続人から質問があるときはいつにても相談を受ける。
チ、 受託人は、仲裁行為又は仲裁と誤認される行為並びに法律の鑑定等を一切行わない。
リ、 本業務の受託報酬は金〇〇万円とし、委託時に着手金として金〇〇万円を相続人代表が立て替
え支払い、遺産分割協議書捺印時に残金を支払う。
ヌ、 報酬について、各相続人(委託者)は、当該取得相続分に応じて案分した金額を支払う。
ル、 上記報酬の支払いについて、各相続人は連帯して受託人に対して責任を負う。
ヲ、 その他詳細について書面により別途約定する。
ワ、 本委託書に記載されている業務であっても、行政書士業務外は除くものとする。
平成24年10月〇〇日
(被相続人〇〇〇〇 平成〇〇年〇月〇日死亡 死亡時住所地 東京都中野区 )
委託人 住 所
(相続人)氏 名 印
(このホームページの転写、複写はご遠慮下さい。)